理解の価値と圧縮について

イントロダクション

理解

理解と認識的価値

圧縮としての理解

この発表について

圧縮としての理解

Wilkenfeld(2019)による定式化

UCの例

  1. 学習における理解の例: 論理学の教育を受けた人々の多くは、一階述語論理の自然演繹体系の健全性の証明を理解しているかもしれない。とはいえ、彼らはその証明プロセスのすべてを暗記しているわけではない。多くの場合、彼らは基本的な事実に加えて、証明を再構成するためのルールやヒューリスティックス、仮説などを持っており、それらを用いて証明を再構成できる。
  2. より歴史的な理解の例: アダム・スミスの『国富論』は、市場メカニズムに関するわれわれの理解を飛躍的に推し進めた。いまやわれわれは、現実の社会状況に関する多くの複雑な事実を読み込むことなく、いくつかの基本的な事実と、需要と供給に関する簡単な原則を用いて、市場価格に関する有用な情報を生み出せる。(たとえば、メキシコ湾をハリケーンが襲ったときに原油価格はどうなるか、という議題に関して有用な情報を生成できる。)

UCの価値

  1. 記憶領域の節約: たとえば、最初の50個のフィボナッチ数を暗記している人よりも、フィボナッチ数を定義する簡単な漸化式からそれらを生成できる人のほうが、UCの観点から見て(フィボナッチ数についての)良い理解を持っている。このとき、後者のほうが記憶領域を節約できているという事実が、UCの価値を説明している。
  2. 過学習の回避: たとえば、あるデータを(過学習して)無用な 10次関数で理解している人よりも、誤差項を含む有用な2次関数で理解している人のほうが、UCの観点から見て(データについての)良い理解を持っている。このとき、後者が過学習を回避できており、前者はできていないという事実が、UCの価値を説明している。

UCを検討する

UCはどのような主張か

UCが(概念的主張として)正しくない理由

UCが(経験的主張としても)正しくない理由

規則性を発見しづらい例

小まとめ

まとめ

参考文献

  1. Gregory Chaitin. (2006). The limits of reason. Scientific American 294.3: 74–81.
  2. Peter Grünwald. (2004). A tutorial introduction to the minimum description length principle. arXiv:math/0406077v1.
  3. Peter Grünwald. (2019). Minimum description length revisited. arXiv:1908.08484v2.
  4. Christoph Kelp. (2015). Understanding phenomena. Synthese 192.12: 3799–3816.
  5. Jonathan Kvanvig. (2013). Curiosity and the response-dependent special value of understanding. Knowledge, Virtue, and Action, Routledge: 151–174.
  6. Duncan Pritchard. (2010). Knowledge and understanding. The Nature and Value of Knowledge: Three Investigations, Oxford University Press: 1–88.
  7. Daniel Wilkenfeld. (2013). Understanding as representation manipulability. Synthese 190.6: 997–1016.
  8. Daniel Wilkenfeld. (2019). Understanding as compression. Philosophical Studies 176.10: 2807–2831.
  9. Linda Zagzebski. (2001). Recovering understanding. Knowledge, Truth, and Duty: Essays on Epistemic Justification, Responsibility, and Virtue, Oxford University Press: 235–252.

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